その6 寒くなり
夏の模試でE判定を食らってからは会う頻度を極端に下げ、勉強するようになった。
特に理科をしっかりやり、わりと得意の数学は落ちない程度に、苦手な英語は音読をひたすらするようになった。
英語の音読とか正直意味あったのかわからないけど、理科はやればやるほど伸びるのを感じた。ちなみに理科は本番は壊滅してる。
というわけで、11月。S社の東大模試でA判定をもらった。よっしゃ。とはいえすれすれのA判定。K社の東大openはD判定。全く油断できない。
とはいえ、夏の模試からTotal 80点は伸びてとても安心した。このまま行けば理2なら…
この頃から親も含めて進路について考え始める。
親は医学部推しだった。免許さえ持てば食いっぱぐれもない。高給取りで人の命を救うという社会貢献もできやりがいもある。それはわかる。
でも正直東大に行きたかった。
さやと一緒に東大に行きたい。
幸せな大学生活を送りたい。
もし医学部に進んだとしたらどうだろうか。
理3はマジで無理。医科歯科は問題の相性的にもっと無理。
慶應をはじめ都内私立医学部は経済力が無理。
千葉医はまぁ狙えなくはないが東京じゃないから無理。
色々考えることは山積みだったが、進路を考えて点数が伸びるわけでもないのはわかっていたのでとりあえず勉強していた。
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12月。うちの塾では最終授業で先生にプレゼントを渡す習慣がある。(クラスによってはピザ食べたりレクリエーションすることも)
最終授業の日。授業前、さやから連絡が来た。
先生へのプレゼントどうしよう?
買ってきてくれるの?
うん、そう思って今東急ハンズにいるよ。
何がいいと思う?
何がいいかなぁ…
適当なもの買っていくね!
さや…無能でごめんなさい…
さやは文句ひとつ言わずに買ってきてくれた。正直何を買ってきてくれたか覚えてはいない。
ただ、付箋に手紙を書いてアルバムみたいなのを作った記憶はある。先生やさしかったもんなぁ。
ちなみにその日は12月25日。
正直さやと過ごしたかったが、高校同期達と仲良く帰って過ごすことにした。
さやはとある仲良し男女グループの一員でもあった。そのグループの存在は結構有名で、特に女の子達がさや含め皆可愛かった。
そっちでクリスマスは過ごすのだろうと思い誘わなかった。友達と過ごしたいだろう。邪魔はよくない。
あとはまぁ付き合ったらクリスマスくらい一緒に過ごせるだろうと。なんてポジティブ思考。
当時男子高校生だった僕はこの男女グループにめちゃくちゃ嫉妬していた。
純粋に環境としても羨ましいし、好きな人を取られるんじゃないかと感じてやきもき。当時の僕は知らなかったが、そのグループの中の1人と僕とでリアルにさやの取り合いになってた。
そして恋敵と大学で同級生になろうとは…
(続く)