一目惚れした時の話

医学生。卒業を控え、自分の人生がこれでいいのかわからなくなった結果、昔した恋愛を書いてみることにしました。

その1 出会った時の話

あまりにも毎日が平凡だった。朝から病院行って合間にゲームしてタスクをこなして夜前に家に帰る。たまに部活に行って筋トレもして、プロテインを飲んで。
僕は自分の人生の意味を見失っていた。


僕は医療を勉強すればするほど疑問を抱かずにはいられなかった。本当に長生きすることが美なのか。医療費の圧迫でしわ寄せを受ける若者。無償の残業。命を扱うというのに安い稼ぎ。喫煙歴何十年の生活保護受給肺がん患者を無償で救う価値はあるのか。
僕は高尚な人間じゃない。死にたい奴がいれば死ねばいいとも思ってる。この考えが人として良くないことだとも思ってる。命は平等だ。わかっている。ただ、やはり疑問を抱かずいられない。某病院で「3割負担も厳しい場合は当院で一部負担します」という理念が掲げられていた。素晴らしいなぁ。俺には無理だ。

 

医学生というのはひどく世間知らずが多い。文系就職なんて全く知らない人も多い。電通という会社が電気通信に関する会社だと思っている人も少なからずいる。そんな人間が人命を扱うということに僕は危機感を覚えた。あくまでも僕の考えに過ぎないが。

 

大人になるということは自分の限界を知ることと誰かが言った。大学4年の時人生で初めてライブに行った。Nissyが輝いていた。僕もああなりたかった。「ニッシー顔」と何回か言われたことあるからなおそう思ってしまうのか。せめてバックダンサーなら…avexのダンスレッスンをもっと早く受けていたら…気付いた時にはもう遅いと思ってしまった。23歳という歳になってでしか自分の人生を考えられない男の末路。

 

そんな僕も、思い立った時にすぐ行動したことが一度だけある。

 

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6年前。当時高校2年生。文化祭も終わり、大学受験が迫っていた。僕は日本で指折りの名門高校にいた。いわゆる中学受験成功組だ。地元の小学校は中学受験とは無縁なのでそれはヒーローだった。いじめられてもいたが。

 

小学生の頃はそれはもうとんがりにとんがってて女はクソなどとのたうちまわっていたが男子校の宿命だろう、中学3年生くらいからめちゃめちゃ彼女は欲しいモテたいなど下心が生えまくった。15歳の誕生日にはソッコーでmixiに登録したし、他校の文化祭に行きまくってた。その甲斐あって高1の時に初めて女の子と付き合った。ソッコーで別れた。僕も悪い点はたくさんあるがあまり気持ちいいものではないのでこの辺で。そのこともあり、もう恋愛はいいかとなっていた。

 

そんな高2の秋。通っていた塾の授業前、友達にノートを借りに行こうとしていた

そんな時だった。

 

 

廊下ですれ違った。

 

 

 

 

1秒も不要だった。

 

 

この子こそ自分の運命の人だと強く実感した。時が止まった。本当に一目惚れだった。一目惚れをしたことに一切の疑問をもたなかった。今でもはっきりと思い出せる。懐かしい。胸が苦しくなる。

その女の子は幸いにして僕が会おうとしていた友達のいるクラスに入っていった。
その日の夜その友達にメールした。

 

「あの可愛い女の子は誰!?」


12月も終盤に差し掛かったころ。無理を言って取り持ってもらい、彼女との接触に成功した。よく忘れたがこないだすれ違ってめっちゃ気になったメアド教えて友達になって的なことを言った気がする。確か。よく覚えてない。
露骨なうざったい顔で「じゃあアドレス教えて」と言われた。もちろん教えた。どれだけワクワクしながら彼女からの返信を待ったことか。1週間もワクワクしてしまった。

 

「さや(仮名)です。宜しくね。」

 

その時の浮かれようときたら酷いったらありゃしない。とにかく、話を続けたかった。好きな音楽の話でひたすら会話をつないだ。今思えば童貞すぎ。

UVERworldのAWAYOKUBA斬るめっちゃおすすめ!」

 

とか言ったと思う。当のさやは聞いてみるねと言っていたが絶対聞いてないよなぁ。

 

 

(続く)