一目惚れした時の話

医学生。卒業を控え、自分の人生がこれでいいのかわからなくなった結果、昔した恋愛を書いてみることにしました。

その4 告白

5月中旬。体育祭に負けて、責任をとって頭を丸めた。人生初の坊主。坊主にした翌朝、髪の毛の伸びを手のひらで実感した。生命を感じる。

 

僕はさやを諦められなかった。

 

でも玉砕は見えていた。知り合って間もないし、いきなり声をかけてあとはメールでしか殆どやりとりしてないし、告白はデートの3回目とかいう次元の話じゃないし。返信もたまにこない時がある。メールはいつも僕からだ。まぁでもしょうがない。

告白だ。

 

〜〜塾から帰宅後〜〜

今日ちょっと話があるんだけどいい?電話で。

 

いいよ。

 

〜〜ぷるぷるぷる〜〜

ごめんこんな夜に。

 

いいよ、で、何?

 

気づいてると思うんだけど、好きなんだよね。

 

うーんまぁなんとなくは。

 

一目見たときに幸せにしたい、一緒にいてほしいって思ったんだ。

 

ありがとう。

 

ダメかな。

 

うーんごめんね。あなたのことよくわからないし。

 

僕は完全にスイッチ入った。じゃあ知ってもらおう。今思えばとんでもない迷惑野郎だ。でもそうなるくらいに僕はさやに心酔していた。理屈はない。単純に、初めて廊下ですれ違ったときに本能で感じてからずっと。

 

6月頭。

 

またまた僕は話があると言って塾の後さやを呼び出した。新宿駅まで一緒に歩いていった。

 

 

 

どうして付き合ってくれないの?

 

 

だってまだ全然知らないし。

 

 

んーそっか、知らない人と付き合えないもんね。

 

 

 

 

 

 

じゃあ、受験終わったら3ヶ月付き合って。

それでもダメなら綺麗さっぱり諦めるよ。

 

 

 

 

何それ…

んー考えとくね。まぁその時になったらまた色々変わるだろうし!

 

 

 

僕の諦めの悪さに薄々気づいた&鬱陶しすぎた故の返事なのだろう。我ながら3ヶ月って絶妙だと思う。ちなみにさやは、お互い受験がひと段落する頃には私のことなど忘れているのだろうと思っていたそう。まぁ忘れなかったんですけどね。

 

確認だが、僕は坊主頭だ。坊主のこの姿。やばすぎる。坊主を隣に置いてるさやも十分やばい気がするが。それも踏まえた上で隣にいさせた僕もやばい。

 

(続く)